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ProGrade SDXC V90 IRIDIUM。
128GBだけ書き込みが75MB/秒遅い

2026.08.30カメラ機材
ProGrade Digital SDXC UHS-II V90 IRIDIUM の128GBと256GB。カード表面に読出300MB/秒、書込200MB/秒と275MB/秒が印刷されている。

同じV90でも、容量で書き込みが変わる。ProGradeのIRIDIUMは128GBが200MB/秒、256GB以上が275MB/秒。差は75MB/秒だ。

先に言っておく

買う価値がある
24MPクラスで秒10コマを続けて切る人。 必要なのは約250MB/秒で、256GB以上なら書込275MB/秒で足りる。読出は全容量300MB/秒だ。
容量を上げる
128GBを2枚買おうとしている人。 128GBだけ書込が200MB/秒で、連写に50MB/秒足りない。同じ金額なら256GBを1枚のほうがいい。
避けたほうがいい
512GBを狙っている人。 1GBあたりが約145円で、他の容量(約129円)よりここだけ割高。256GB×2のほうが単価は下がる。

この記事の情報の扱い

確認できた事実
速度と容量の仕様、標準価格は2025年6月16日の発売時にProGrade Digitalが公表した資料による。日本語の公式サイトに製品ページが無く、価格の正本がプレスリリースしかない。SDのスピードクラス(V90が最低90MB/秒を保証する)は規格の定義。
合理的に導ける評価
連写に必要な約250MB/秒、1GBあたりの単価、容量ごとの過不足は、公表値からこちらで計算したもの。
確認できないこと
実売価格は追えていない(正本が発売時の標準価格なので、いまの店頭価格とは違う)。連続書き込み時の発熱による速度低下、カメラ側のバッファの挙動は検証していない。

IRIDIUMはCOBALTの後継として出た

ProGrade Digitalが2025年6月16日に発売したV90のSDカードだ。

それまで上位だったCOBALTは64GBを残して終息し、この IRIDIUM に置き換わった。中身はTLCのNANDと新しいコントローラーになっている。

公式に出ている数字を並べる。ここで見るのは読出ではなく書込のほうだ。カメラが困るのは書き込む側なので、300MB/秒という大きい数字に引っぱられると判断を間違える。

項目
項目
規格
SDXC UHS-II
V90 / U3 / C10
最大読出
300MB/秒(全容量)
最大書込
128GB:200MB/秒
256GB以上:275MB/秒
最低持続書込
90MB/秒
(V90の保証値)
メモリー
TLC NAND
容量
128GB / 256GB
512GB / 1TB
発売
2025年6月16日
前の上位
COBALT(64GB以外は終息)

読出は容量に関係なく300MB/秒で揃っている。

差が出るのは書込だけ。ここが、このカードで唯一まちがえやすい場所になる。

容量ごとの値段と、1GBあたり

発売時の標準価格(税込)を、1GBあたりに割った。

容量
価格
1GBあたり
最大書込
128GB
16,500円
129円
200MB/秒
256GB
33,000円
129円
275MB/秒
512GB
74,300円
145円
275MB/秒
1TB
132,000円
129円
275MB/秒

128GB・256GB・1TBは、1GBあたりがきれいに揃って129円。

512GBだけが145円で、1割ほど高い。同じ金額を出すなら、512GBを1枚買うより256GBを2枚のほうが安く、しかも片方が壊れたときに全部を失わない。

そして128GBから256GBへの16,500円は、容量が倍になるだけでなく書込が75MB/秒増える。この差の意味は、次の計算で出てくる。

クラス10・V30が保証しているのは最低速度

C10、U3、V30、V90。カードの表には数字が何個も並んでいる。

これが指しているのは最低限は保証される書き込み速度だ。V30なら30MB/秒、V90なら90MB/秒を下回らない、という意味になる。

見落とされるのはここ。もともと動画のための規格だ。

SDアソシエーションの説明も、フレーム落ちを起こさない最低限の書き込み速度を保証するもの、と書いている。連写の速さを表す数字ではない

最低保証だから、上限については何も言っていない。実際に何MB/秒出るかは、別のところで決まる。

SDアソシエーションのスピードクラス解説ページ。スピードクラス、UHSスピードクラス、ビデオスピードクラスの説明が並ぶ。
クラス表記は動画のための規格で、保証しているのは最低速度だけ。300MB/秒はメーカーの公称値になる。画像:SDアソシエーション公式

速度の上限は、カードでなくバスが決める

カードには世代ごとの転送方式(バスインターフェース)があり、これが天井になる。策定団体が公開している数値を並べた。

バス
速度
登場
備考
デフォルトスピード
12.5MB/秒
SD 1.01
最初の規格
ハイスピード
25MB/秒
SD 1.1
倍速
UHS-I
50/104MB/秒
SD 3.0
いまも主流。ここが天井
UHS-II
156/312MB/秒
SD 4.0
端子が2列になる
UHS-III
624MB/秒
SD 6.0
採用機は少ない
SD Express
最大3,940MB/秒
SD 7.0
PCIe+NVMe

UHS-Iの上限は104MB/秒。UHS-I世代のカメラに何を挿しても、ここから上には行かない。

決定打は策定団体の一文だ。「V60/V90はUHS-IIモードで使用される」と書いてある。

V90という表記は、UHS-IIで動かす前提の数字だということ。

カメラがUHS-II非対応なら、90MB/秒の前提が最初から崩れている。

SDアソシエーションのバスインターフェーススピード解説ページ。デフォルトスピードからSD Expressまでの速度が並ぶ。
バスの速度は規格の世代で決まっている。カードのクラス表記より、こちらが先に効く。画像:SDアソシエーション公式

連写に必要な速度を計算する

写真ではいくつ要るのか。1枚のファイルサイズ×秒間コマ数で出る。

撮り方
1枚
秒10コマなら
足りるバス
24MP 圧縮RAW
約25MB
250MB/秒
UHS-II(312)でようやく
24MP 非圧縮RAW
約48MB
480MB/秒
SDでは実質届かない
45MP 圧縮RAW
約50MB
500MB/秒
同上
4K 30p 動画
12.5MB/秒
V30で十分
4K 60p 動画
25MB/秒
V30で足りる

並べると逆転する。動画のほうが軽い

4K60pでも25MB/秒で、V30の保証値で足りる。写真の連写は桁がひとつ上だ。

それでも連写ができているのは、カメラが内部のバッファにいったん溜めているから。

埋まるまでは軽快で、埋まった瞬間に止まる。カードの速度が効くのは、この詰まったあとの戻りの速さだけだ。

カードで変わるのは、連写できるかどうかではない。止まるまでの枚数と、止まってから戻るまでの時間のほうだ。

128GBと256GB、分かれ目は容量ではなく速度

24MPの圧縮RAWを秒10コマで撮ると250MB/秒。ここに、さっきの書込速度を並べる。

128GBは200MB/秒で、50MB/秒足りない。バッファが埋まったあとは、書き出しが撮影に追いつかない。

256GB以上は275MB/秒で、25MB/秒だけ上回る。理論の上では、詰まったあとも止まらずに続く側に入る。

枚数で見ると、24MPの圧縮RAW(1枚25MB)で128GBが約5,100枚、256GBが約10,200枚。1日の式でも128GBで足りるのに、それでも256GBを選ぶ理由がここにある。

買い足す順番も変わる。128GBを2枚より、256GBを1枚。値段は同じで、速度だけが上がる。

もっとも、この計算はカメラ側が275MB/秒を出せることが前提だ。UHS-II対応と、スロットがどちらもUHS-IIかを先に見る

連写するなら256GB
33,000円(税込・2025年6月の発売時価格)
価格は変わります。リンク先で最新の金額を確認してください
Amazonで見る 楽天市場で見る 価格は変動します。最新の金額はリンク先で確認してください

このカードの弱いところ

V90という表記が保証しているのは、最低90MB/秒だけだ。300MB/秒も275MB/秒も、規格ではなくメーカーの公称値になる。

そしてUHS-II非対応のカメラでは104MB/秒で頭打ち。この場合、16,500円を出しても手元の速度は変わらない。

取り込み側も同じで、リーダーがUHS-Iなら300MB/秒は出ない。カードと一緒に揃える出費が要る。

512GBの1GBあたりが高いのも、素直に言えば残念な点だ。

それと、終息したCOBALTの在庫が25%引きで並んでいる時期がある。速度が足りるなら、そちらのほうが得な場面はある。

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買う前に見るのは2つだけ

買う前に見る順番はこうなる。

  1. カメラがUHS-IIに対応しているかを先に調べる。非対応ならV90を買う意味は薄い
  2. 対応しているなら、スロットがどちらもUHS-IIかを見る。片方だけの機種がある
  3. そのうえでV60かV90を選ぶ。非対応ならV30の良いものを買って差額を別に回す

やりがちなのは逆順だ。いちばん速いカードを買って、挿して、何も変わらないと気づく。

先に見るのはカードの表記ではなく、カメラの仕様表。順番を間違えると数千円から1万円が消える。

取り込み側でも同じことが起きる。カードがUHS-IIでも、リーダーがUHS-Iなら104MB/秒で頭打ちだ。

速いカードを買ったなら、リーダーも揃えないと数字は出てこない。

僕なら256GBを1枚買う

256GB以上を選ぶ

  • カメラがUHS-II対応で、スロットも両方UHS-II
  • 連写を続けて使う(スポーツ・式・鉄道)
  • 高画素機でRAWを撮る
  • 1枚に長く撮って、抜き差しを減らしたい

ここまでは要らない

  • カメラがUHS-Iまで(104MB/秒で頭打ち)
  • 連写は数枚ずつ
  • 撮るのは主に動画。4K60pでも25MB/秒
  • 建築や物撮りのように1枚ずつ撮る
三脚に据えて1枚ずつ撮影した建築写真を、Lightroomで開いている画面。
1枚ずつ撮る撮り方だと、カードの速度が効いてくるのは撮影中ではなく取り込みのときになる。

僕は建築が中心で、連写をほとんど使わない

三脚に据えて1枚ずつ撮っていると、カードの速度が顔を出すのは取り込みのときだけだ。

連写を使わない撮り方なら、V90の300MB/秒が効くのは取り込みの数分だけだ。撮り方が変われば、この記事の結論も丸ごと変わる。

よくある質問

ProGrade SDXC UHS-II V90 IRIDIUMはいくらですか?

2025年6月16日の発売時の標準価格(税込)で、128GBが16,500円、256GBが33,000円、512GBが74,300円、1TBが132,000円です。1GBあたりに直すと128GB・256GB・1TBが約129円で、512GBだけが約145円と割高になります。

IRIDIUMの128GBと256GBは何が違いますか?

容量のほかに最大書込速度が違います。128GBが200MB/秒、256GB以上が275MB/秒で、差は75MB/秒です。最大読出速度は全容量とも300MB/秒、V90としての最低持続書込速度は90MB/秒で共通です。

SDカードの書き込みが遅いのはなぜですか?

カードのクラス表記ではなく、バスインターフェースが上限を決めているためです。UHS-Iの上限は104MB/秒で、V60やV90はUHS-IIモードでの使用が前提になっています。カメラ側がUHS-IIに対応していなければ、V90のカードを入れても104MB/秒より速くはなりません。

V30とV90の違いは何ですか?

数字は最低限保証される書き込み速度で、V30は30MB/秒、V90は90MB/秒です。ただしSD策定団体はV60とV90をUHS-IIモードで使うものと定めているので、V90を活かすにはカメラとカードの両方がUHS-II対応である必要があります。

連写にはどれくらいの速度が必要ですか?

1枚25MBの圧縮RAWを秒10コマで撮ると250MB/秒になります。UHS-Iの上限104MB/秒では足りず、UHS-II(156〜312MB/秒)でようやく届く水準です。スピードクラスは動画の連続記録のための規格なので、連写の性能は保証していません。

ProGrade Digital SDXC UHS-II V90 IRIDIUM

価格は2025年6月16日の発売時に公表された標準価格(税込)です。変わるのでリンク先で確かめてください。

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