ProGrade SDXC V90 IRIDIUM。
128GBだけ書き込みが75MB/秒遅い
同じV90でも、容量で書き込みが変わる。ProGradeのIRIDIUMは128GBが200MB/秒、256GB以上が275MB/秒。差は75MB/秒だ。
先に言っておく
この記事の情報の扱い
- 確認できた事実
- 速度と容量の仕様、標準価格は2025年6月16日の発売時にProGrade Digitalが公表した資料による。日本語の公式サイトに製品ページが無く、価格の正本がプレスリリースしかない。SDのスピードクラス(V90が最低90MB/秒を保証する)は規格の定義。
- 合理的に導ける評価
- 連写に必要な約250MB/秒、1GBあたりの単価、容量ごとの過不足は、公表値からこちらで計算したもの。
- 確認できないこと
- 実売価格は追えていない(正本が発売時の標準価格なので、いまの店頭価格とは違う)。連続書き込み時の発熱による速度低下、カメラ側のバッファの挙動は検証していない。
IRIDIUMはCOBALTの後継として出た
ProGrade Digitalが2025年6月16日に発売したV90のSDカードだ。
それまで上位だったCOBALTは64GBを残して終息し、この IRIDIUM に置き換わった。中身はTLCのNANDと新しいコントローラーになっている。
公式に出ている数字を並べる。ここで見るのは読出ではなく書込のほうだ。カメラが困るのは書き込む側なので、300MB/秒という大きい数字に引っぱられると判断を間違える。
V90 / U3 / C10
256GB以上:275MB/秒
(V90の保証値)
512GB / 1TB
読出は容量に関係なく300MB/秒で揃っている。
差が出るのは書込だけ。ここが、このカードで唯一まちがえやすい場所になる。
容量ごとの値段と、1GBあたり
発売時の標準価格(税込)を、1GBあたりに割った。
128GB・256GB・1TBは、1GBあたりがきれいに揃って129円。
512GBだけが145円で、1割ほど高い。同じ金額を出すなら、512GBを1枚買うより256GBを2枚のほうが安く、しかも片方が壊れたときに全部を失わない。
そして128GBから256GBへの16,500円は、容量が倍になるだけでなく書込が75MB/秒増える。この差の意味は、次の計算で出てくる。
クラス10・V30が保証しているのは最低速度
C10、U3、V30、V90。カードの表には数字が何個も並んでいる。
これが指しているのは最低限は保証される書き込み速度だ。V30なら30MB/秒、V90なら90MB/秒を下回らない、という意味になる。
見落とされるのはここ。もともと動画のための規格だ。
SDアソシエーションの説明も、フレーム落ちを起こさない最低限の書き込み速度を保証するもの、と書いている。連写の速さを表す数字ではない。
最低保証だから、上限については何も言っていない。実際に何MB/秒出るかは、別のところで決まる。
速度の上限は、カードでなくバスが決める
カードには世代ごとの転送方式(バスインターフェース)があり、これが天井になる。策定団体が公開している数値を並べた。
UHS-Iの上限は104MB/秒。UHS-I世代のカメラに何を挿しても、ここから上には行かない。
決定打は策定団体の一文だ。「V60/V90はUHS-IIモードで使用される」と書いてある。
V90という表記は、UHS-IIで動かす前提の数字だということ。
カメラがUHS-II非対応なら、90MB/秒の前提が最初から崩れている。
連写に必要な速度を計算する
写真ではいくつ要るのか。1枚のファイルサイズ×秒間コマ数で出る。
並べると逆転する。動画のほうが軽い。
4K60pでも25MB/秒で、V30の保証値で足りる。写真の連写は桁がひとつ上だ。
それでも連写ができているのは、カメラが内部のバッファにいったん溜めているから。
埋まるまでは軽快で、埋まった瞬間に止まる。カードの速度が効くのは、この詰まったあとの戻りの速さだけだ。
カードで変わるのは、連写できるかどうかではない。止まるまでの枚数と、止まってから戻るまでの時間のほうだ。
128GBと256GB、分かれ目は容量ではなく速度
24MPの圧縮RAWを秒10コマで撮ると250MB/秒。ここに、さっきの書込速度を並べる。
128GBは200MB/秒で、50MB/秒足りない。バッファが埋まったあとは、書き出しが撮影に追いつかない。
256GB以上は275MB/秒で、25MB/秒だけ上回る。理論の上では、詰まったあとも止まらずに続く側に入る。
枚数で見ると、24MPの圧縮RAW(1枚25MB)で128GBが約5,100枚、256GBが約10,200枚。1日の式でも128GBで足りるのに、それでも256GBを選ぶ理由がここにある。
買い足す順番も変わる。128GBを2枚より、256GBを1枚。値段は同じで、速度だけが上がる。
もっとも、この計算はカメラ側が275MB/秒を出せることが前提だ。UHS-II対応と、スロットがどちらもUHS-IIかを先に見る。
このカードの弱いところ
V90という表記が保証しているのは、最低90MB/秒だけだ。300MB/秒も275MB/秒も、規格ではなくメーカーの公称値になる。
そしてUHS-II非対応のカメラでは104MB/秒で頭打ち。この場合、16,500円を出しても手元の速度は変わらない。
取り込み側も同じで、リーダーがUHS-Iなら300MB/秒は出ない。カードと一緒に揃える出費が要る。
512GBの1GBあたりが高いのも、素直に言えば残念な点だ。
それと、終息したCOBALTの在庫が25%引きで並んでいる時期がある。速度が足りるなら、そちらのほうが得な場面はある。
買う前に見るのは2つだけ
買う前に見る順番はこうなる。
- カメラがUHS-IIに対応しているかを先に調べる。非対応ならV90を買う意味は薄い
- 対応しているなら、スロットがどちらもUHS-IIかを見る。片方だけの機種がある
- そのうえでV60かV90を選ぶ。非対応ならV30の良いものを買って差額を別に回す
やりがちなのは逆順だ。いちばん速いカードを買って、挿して、何も変わらないと気づく。
先に見るのはカードの表記ではなく、カメラの仕様表。順番を間違えると数千円から1万円が消える。
取り込み側でも同じことが起きる。カードがUHS-IIでも、リーダーがUHS-Iなら104MB/秒で頭打ちだ。
速いカードを買ったなら、リーダーも揃えないと数字は出てこない。
僕なら256GBを1枚買う
256GB以上を選ぶ
- カメラがUHS-II対応で、スロットも両方UHS-II
- 連写を続けて使う(スポーツ・式・鉄道)
- 高画素機でRAWを撮る
- 1枚に長く撮って、抜き差しを減らしたい
ここまでは要らない
- カメラがUHS-Iまで(104MB/秒で頭打ち)
- 連写は数枚ずつ
- 撮るのは主に動画。4K60pでも25MB/秒
- 建築や物撮りのように1枚ずつ撮る
僕は建築が中心で、連写をほとんど使わない。
三脚に据えて1枚ずつ撮っていると、カードの速度が顔を出すのは取り込みのときだけだ。
連写を使わない撮り方なら、V90の300MB/秒が効くのは取り込みの数分だけだ。撮り方が変われば、この記事の結論も丸ごと変わる。
よくある質問
ProGrade SDXC UHS-II V90 IRIDIUMはいくらですか?
2025年6月16日の発売時の標準価格(税込)で、128GBが16,500円、256GBが33,000円、512GBが74,300円、1TBが132,000円です。1GBあたりに直すと128GB・256GB・1TBが約129円で、512GBだけが約145円と割高になります。
IRIDIUMの128GBと256GBは何が違いますか?
容量のほかに最大書込速度が違います。128GBが200MB/秒、256GB以上が275MB/秒で、差は75MB/秒です。最大読出速度は全容量とも300MB/秒、V90としての最低持続書込速度は90MB/秒で共通です。
SDカードの書き込みが遅いのはなぜですか?
カードのクラス表記ではなく、バスインターフェースが上限を決めているためです。UHS-Iの上限は104MB/秒で、V60やV90はUHS-IIモードでの使用が前提になっています。カメラ側がUHS-IIに対応していなければ、V90のカードを入れても104MB/秒より速くはなりません。
V30とV90の違いは何ですか?
数字は最低限保証される書き込み速度で、V30は30MB/秒、V90は90MB/秒です。ただしSD策定団体はV60とV90をUHS-IIモードで使うものと定めているので、V90を活かすにはカメラとカードの両方がUHS-II対応である必要があります。
連写にはどれくらいの速度が必要ですか?
1枚25MBの圧縮RAWを秒10コマで撮ると250MB/秒になります。UHS-Iの上限104MB/秒では足りず、UHS-II(156〜312MB/秒)でようやく届く水準です。スピードクラスは動画の連続記録のための規格なので、連写の性能は保証していません。
ProGrade Digital SDXC UHS-II V90 IRIDIUM
価格は2025年6月16日の発売時に公表された標準価格(税込)です。変わるのでリンク先で確かめてください。