GODOX V1 Pro。
天井に向けたまま、目に光を戻せるクリップオンストロボ
V1 Proは、丸ヘッドのクリップオンストロボだ。ひとつ下のV1と最大出力は同じ76Wsで、値段は約1.1万円高い。この記事は「その1.1万円を払う理由がある人は誰か」を判断できるところまで書く。
結論
この記事の情報の扱い
- 確認できた事実
- 仕様・希望小売価格・国内で扱うマウントは、2026年9月1日に国内代理店(ケンコープロフェショナルイメージング)の製品ページで確認した。実売価格は同じ日に、KPI日本正規版を扱う正規取扱店1店で3機種そろえて確認した。
- 合理的に導ける評価
- 「約0.4段の差」「差額の内訳」「サブフラッシュ込みの重量」などは、公表値からこちらで計算・比較したもの。計算の根拠は本文に書いている。
- 確認できないこと
- 実売価格は日々動く。同梱物の一覧は代理店が公表していない。SU-1は代理店の商品名が「V1Pro専用」で、旧型V1に付くという記載は無い(付かないと明記されているわけでもない)。取れていない箇所はその都度本文に書いた。
丸ヘッドの真ん中にいる機種
カメラのホットシューに載せて使う、外付けのストロボだ。発光面が丸い。
GODOXの丸ヘッドは3機種ある。安い順にV1・V1 Pro・V100。V1 Proは真ん中で、2024年6月14日に発売された。
特徴は、ヘッドの手前に差せるSU-1という小さな発光部。上位のV100にも取り外せるサブフラッシュが付いている。持っていないのは、ひとつ下のV1だけだ。
用途で言うと、室内で人を撮るためのストロボになる。理由は次の章で説明する。
天井に向けると、目の光が消える
室内でストロボを顔に直接向けると、影が硬くなる。だから天井へ向けて跳ね返す。これがバウンスだ。
影は柔らかくなる。ただし、光源が天井そのものになる。上から降ってくる光は、まぶたと鼻の下に影を落とす。
そして瞳に映る白い点が消える。人の写真は、この点があるかないかで印象が変わる。
白い紙をゴムで留めて代用してきた場所に、スイッチの付いた発光部が入った、と考えるとわかりやすい。
そしてSU-1は差し込み式で、要らない場面では抜いておける。天井バウンスだけで足りる部屋では、ただの丸ヘッドとして使える。光量は本体側から1/1〜1/128の範囲で振れる。
代理店が出している数字
2026年9月1日に、国内代理店ケンコープロフェショナルイメージングの製品ページで確認した値。
7.2V/2980mAh
垂直 -7〜120°
10段階
最大100m
580g(電池込み)
キヤノン/ニコン/ソニー/富士フイルム/OM・オリンパス・パナソニック
別売の保守部品として、SU-1サブフラッシュが税別8,400円(21g・50×40×20mm)、VB30バッテリーが税別9,500円(120g・70×40×25mm)で単体販売されている。この2つの値段は、あとで差額を判断するときに効いてくる。
この機種にしか無いもの
サブフラッシュを「外せる」こと
付いていることより、抜けることのほうが実用上は大きい。
常時前向きに光る構造だと、天井バウンスだけで撮りたい場面で邪魔になる。差し込み式なら、必要な現場だけ挿せばいい。
電池がUSB-Cで直接充電できる
VB30はバッテリー単体でUSB-C充電に対応している。V1に付いてくるクレードル式の充電器を使わずに充電できる。
効くのは遠征だ。専用充電器を荷物から1つ減らせる。カメラもモバイルバッテリーもUSB-Cなら、ケーブルが1本で足りる。
足りない日は、外部電源のPB960などをつなぐ電源ポートもある。
丸い発光面と、磁石で付くアクセサリー
発光面が丸いと、跳ね返したときに影の縁へ角が出にくい。四角い発光面との違いはここに出る。
そしてこの丸にはAK-R1という磁石式のアクセサリー群がある。ドーム、ハニカム、色フィルター、バーンドア。実売は1万円を切る。
工具もテープも要らない。現場で光の形を変える速さでは、この方式が有利になる。V1と共通なので、V1から乗り換えても持ち物は無駄にならない。
受信機なしでオフカメラにできる
2.4GHzの送受信が本体に入っている。32チャンネル、最大100m。
カメラから離して床やスタンドに置き、別の送信機から光らせられる。 受信機を買い足す必要がない。
同じGODOXの他の灯体と電波が共通なので、あとからライトを増やしても系統が1つで済む。
引っかかったところ
公表値から読み取れる範囲で、3つの観点に分けて挙げる。
重さ:V1より50g重くなる
電池を入れた状態で580g。SU-1を挿すと約601g。ひとつ下のV1は電池込み530gなので、買い替えると50g増える。ミラーレス本体とレンズに、これが上乗せされる。
1〜2時間、首から下げて動く撮影では効いてくる。三脚に載せるなら関係ないが、手持ちで動き回る現場では判断材料になる。
出力:76Wsは屋外向けではない
76Wsは、室内で人ひとりを照らすための量だ。日中の屋外で太陽と張り合う使い方には足りない。
屋外で日中シンクロを多用するなら、この機種ではなく、より大出力の別系統(バッテリー式のモノブロックなど)を見たほうがいい。上のV100に替えても、増えるのは約0.4段だけだ。
外部電源:PB960の恩恵はV100のほうが大きい
V1 ProにもPB960用の電源ポートはある。ただし代理店が「外部給電でリサイクルタイムが縮む」と数字で書いているのはV100のほうで、通常約1.7秒が最短0.8秒になるとしている。
V1 Proの外部給電時のリサイクルタイムは公表されていない。PB960を常用する前提なら、速さの比較はこの記事の数字では決まらない。
V1・V1 Pro・V100、どこで足りなくなるか
丸ヘッドの3機種は、価格がほぼ同じ約1.1万円ずつの階段になっている。だから「その1.1万円で何が増えるか」だけを見ればいい。
下の実売価格は、2026年9月1日にKPI日本正規版を扱う同じ正規取扱店1店で、3機種そろえて確認した税込の販売価格。今は変わっている可能性がある。代理店の希望小売(税込)は順に49,280円・62,040円・74,800円で、そちらで見た段差は12,760円ずつになる。
76Wsと100Wsの差は、写真でどれくらいか
数字だけ見ると100Wsは76Wsの1.3倍で、大きく感じる。
ただし写真の明るさは、絞りの「段」で数える。1段=光の量が2倍だ。1.3倍は1段の半分にも届かない。
V1との差は、明るさ以外の全部にある
同じ76Wsなので、写真の明るさは1段も変わらない。変わるのはそれ以外だ。
7.2V/2600mAh
7.2V/2980mAh(USB-C直接充電)
回数は480回から500回で、20回ぶん。実質の差はサブフラッシュと電池の2つだけだと思っていい。そのかわり50g重くなる。
上位のV100に負けていない点がある
V100は明るく、画面も良い。ただし全部で勝っているわけではない。そして対応マウントは同じ5種なので、そこは選ぶ理由にならない。
PB960給電で最短0.8秒
SU-1を挿すと約601g
サブフラッシュ込み
グローバルシャッター機で
電池は同じVB30なのに回数が違うのは、1発が明るいぶん減りが速いからだ。100Wsを積むと、そのぶん持たなくなる。重量も、条件を揃えると580g対616gではなく約601g対616gで15g差になる。V100の616gはサブフラッシュを含んだ値だからだ。
選ぶ順番はこうなる。
天井バウンスを使う室内の撮影が中心で、1日の本数が多いならV1 Pro。屋外で光を回す日がある、背面を画面で操作したい、またはグローバルシャッター機で超高速シンクロを使うならV100。
用途がまだ決まっていないなら、V1から始めても系統は壊れない。無線もAK-R1も共通だからだ。
1/80000秒シンクロ
画面で設定を触りたい
1.1万円は高いのか
V1との実売差10,846円を、部品の値段と並べてみる。代理店はSU-1とVB30を、保守部品として単体でも売っている。
値付けとしては筋が通っている。ただし「妥当な値付け」と「自分に必要」は別の話で、ここを混ぜると要らないものを買うことになる。
判断の分かれ目は1つだけ。天井にヘッドを向けたまま、正面から弱い光を足したい場面が、自分の撮影にあるか。
あるなら10,846円は安い。無いなら、この機種の主役機能に払う金額としては高い。電池のUSB-C充電だけが目当てなら、VB30を1本買うほうが安く済む。
買う人・見送る人
買っていい人
- 天井のある室内で、人の顔を撮る撮影がある
- 1台で完結させたい(アシスタントも2灯目も出せない現場)
- 移動しながら数百カット撮る(約500回・約1.5秒が効く)
- 受信機を足さずにオフカメラを始めたい
- AK-R1で光の形を変えていきたい
- 富士・OM・パナソニック機を使っている(V1Pro F/Oがある)
見送っていい人
- 撮るのは屋外の日中が中心(76Wsでは足りない)
- すでにV1を持っていて、不満が明るさだけ(V1 Proでも明るさは変わらない)
- すでにV1を持っていて、目的がUSB-C充電(VB30単体で足りる)
- カメラの上に580gを載せたくない(V1より50g重い)
- PB960での外部給電を常用する(縮む数字が出ているのはV100だけ)
- 天井が高い・黒い・色が付いた会場が主戦場(バウンス自体が使えない)
最後の1つは補足がいる。バウンスは天井の色と高さに全部左右される。
木目の天井なら光が茶色く染まるし、5m上なら戻ってくる光は激減する。そういう会場が主戦場なら、この機種の主役機能は使えない。買う前に、自分がよく行く場所の天井を思い出したほうがいい。
1.1万円の使いみち
V1 Proは「明るくなった上位機」ではない。76Wsという数字は、ひとつ下のV1と同じだ。
払う10,846円は、天井に向けたまま前へ光を出せる形に対して払う。増えるのは光の量ではなく、1台でできることの数だ。
上のV100にも取り外せるサブフラッシュは付く。対応マウントも同じ5種だ。だからV1 Proの立ち位置は、サブフラッシュは欲しいが、100Wsと2.3型タッチに追加の1.1万円は要らないという場所になる。
そのぶん、発光回数は500回対400回、リサイクルタイムは1.5秒対1.7秒でV1 Proが上だ。1日中まわす現場では、明るさより回数が効く。
判断に迷うなら、順番はこうなる。まず自分の撮影で天井バウンスを何割使っているかを数える。半分を超えているなら候補に入る。
僕なら、室内が仕事の中心かどうかだけで決める。天井の高さと色を思い出せない現場が半分を超えているなら、この機種の主役機能は動かない。
よくある質問
V1 Pro と V1 の違いは何ですか
取り外せるサブフラッシュSU-1が付き、バッテリーがVB26(2600mAh)からVB30(2980mAh)になります。フル発光の回数は約480回から約500回。最大出力は両方76Wsで同じで、明るさは変わりません。重量は530gから580gに増えます。取り外せるサブフラッシュは上位のV100にも付いていて、3機種のうちV1だけが持っていません。
V100 との差はどれくらいですか
最大出力が76Wsから100Wsになり(絞りにして約0.4段)、背面が2.3型のフルカラータッチになります。グローバルシャッター搭載機では最大1/80000秒のシンクロにも対応します。サブフラッシュはV100にも付き、対応マウントもどちらも5種で同じです。ただし発光回数は約500回から約400回に減り、リサイクルタイムは約1.5秒から約1.7秒に伸びます。
電池は単三でも使えますか
使えません。専用リチウムイオンバッテリーVB30で動きます。VB30は単体でUSB-C直接充電に対応します。外部電源PB960につなぐ電源ポートもありますが、接続には対応マウントを問わずキヤノン用バッテリーケーブル「PB-Cx」が別に要ります。
富士フイルムやOM SYSTEMのカメラで使えますか
使えます。国内代理店はV1Pro C・N・Sに加えて、富士フイルム用のV1Pro Fと、OM・オリンパス・パナソニック用のV1Pro Oを扱っています。F・Oは2025年7月25日に受注開始で、希望小売価格は他のマウントと同じ税別56,400円です。
SU-1 だけ後から買えますか
保守部品として単体販売されています(税別8,400円・21g)。ただし代理店の商品名は「V1Pro専用」で、V1Proの前面ソケットに装着して使うものとされています。旧型のV1本体に付くという記載はありません。
いま使っているV1にUSB-C充電を足せますか
足せます。VB30は代理店の商品名が「V1Pro・V1共用」で、V1でも使えます。単体で税別9,500円です。USB-C充電だけが目的なら、本体を買い替える必要はありません。
1回の充電で足りますか
フル発光で約500回が公表値です。実際はフル発光を使い続ける撮影は少ないため、条件が良ければこれより持ちます。連続で焚く場合は、リサイクルタイム約1.5秒が上限になります。
GODOX V1 Pro
仕様と希望小売価格は2026年9月1日に国内代理店(ケンコープロフェショナルイメージング)の製品ページで確認しました。実売価格は同じ日に、KPI日本正規版を扱う正規取扱店1店で3機種そろえて確認した税込価格です。価格は変わるので、リンク先で確かめてください。